学校生活を通じて教師と生徒の葛藤や青春を描いている学園ドラマってたくさんあります。
「金八先生」「ROOKIES」「ごくせん」「ドラゴン桜」…
人気の作品も数多い学園ドラマ。
そんな学園ドラマにおいて、他と一線を画している、かつ群を抜いて面白くて多くの学びを与えてくれるドラマがあります。
それが「鈴木先生」です。
「鈴木先生」とは

https://www.cinra.net/news/2012/02/23/164848
「鈴木先生」は今から7年前、2011年4月~6月にテレビ東京系列にて、長谷川博己主演で放送されたドラマです。
平均視聴率は2%ほどながら、数々の賞を総なめしています。
中学校の教師である鈴木(長谷川博己)は、『ごく普通』の生徒たちの心の問題に向き合うことを自身の教育方針として、自分の受け持つクラスや教え子たちの周りで起こる些細な、ときに重大な事件の数々を誠実に、情熱的に対応している。しかし、その一方では教え子の一人である小川蘇美(土屋太鳳)に対する歪んだ欲望や交際相手である麻美(臼田あさ美)との関係など、自身の心の問題にもひたすら悩む日々を送っている。そうした鈴木の内面を饒舌にかつ克明に描写していく。
「鈴木先生」の素晴らしいところ

「鈴木先生」という作品のすばらしいところは大きく分けて以下の3つです。
一人の人間として教師を描いている
上にあげてきたような学園ドラマ、つまり一般的な学園ドラマにおける主役となる教師って「熱血教師」が大半です。
金八先生しかり、ルーキーズしかり…
教育に全てをかけているような教師を描いており、確かに面白いのですが、リアリティがないんです。
しかし、「鈴木先生」は勿論教育熱心ではありますが、鈴木の心理描写が多く、教師と言っても一人の人間であるところが鮮明に描かれているので、よりリアリティがあります。
一人の女子生徒に憧れてしまうというのも、教師であっても一人の人間である以上、倫理的にはどうあれ、あり得ることですし。
生徒のみならず教師の葛藤やストレスも描く作品ってなかなかない。
教育におけるタブーに切れ込み、多様な価値観を提供している
日本という国は、「性」について口に出すことがタブーとなっている国だと思います。
だから、中学校においても、形式的な性教育しか行っていないように感じられます。
でも、この「鈴木先生」においては、様々な問題を通じて、生徒同士で性に関する活発な討論が行われており、タブーに思いっきり切れ込んでいます。
また、それでいて「性」に関する問題のみならず、一つの価値観で物語を完結させることがない。
すべての価値観が「許されている」、そしてひとつの価値観によって支配されるのが最も怖いことである。
鈴木先生がこのように場面が印象的でした。
ホリエモンが「すべての教育は洗脳である」と言っているように、学校という場所は、「学習指導要領」の下、あらゆる価値観の可能性を消してしまう場所でもあるということも否定できません。
少なくても、僕は15歳まで義務教育を受けてきて、今そう感じる部分があります。
教師と生徒という垂直関係の下では、生徒は教師の影響を良くも悪くも強く受けてしまいます。それが一つの価値観の押し付けになってしまうことも。
「現代の学校教育は手のかからない生徒の心の摩耗の下に支えられている」
僕が最も印象に残った鈴木先生のセリフがこれ。
いま、教師の労働時間について色々な問題が叫ばれています。
そんな中でも、問題のある、手のかかる生徒に対しては、教師は沢山の時間を割かないといけません。
今までの学園ドラマは、教師は不良生徒に向き合って更生させていくパターンが非常に多いですし、実際に僕が中学生の頃を思い出しても、不良にばかり先生の労力が割かれていて、普通の生徒はある意味ないがしろになっていたように感じます。
でも、手のかからない普通の生徒も心には問題のある生徒と同じくらい、いやそれ以上の闇をかかえているのかもしれません。
生徒みんな対して同等の力を注ぐことができたら…という鈴木先生の視点は今までにない非常に斬新かつ納得させられます。
教育の現場はドラマとは違い、不良生徒に手をかけるしかないのかもしれません。
ただ、こういう視点はすべての教師が持つべきものだと思います。
「鈴木先生」はすべての教育者が絶対見るべき
教師という仕事はとても大変だと思います。
日々の授業の質的な向上は勿論、色々な性格の生徒と向き合い、保護者へも対応しなければならない。
また、一般的な社会人以上に倫理感も求められる。
そんな中でも、この「鈴木先生」絶対に見てほしいと思えるドラマです。
日々の業務に忙殺されているのかもしれませんが、このドラマを見ることで、教育について再考してほしい、そう思います。
あとがき
このドラマですが、生徒役の子役達を見るのも面白い。
土屋太鳳、松岡茉優、北村匠海などなど、いまをときめく方々が出ています。
それを含めて非常に楽しめるドラマですので、本当におすすめです。