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石田衣良著の小説「美丘」に思う、命のすばらしさと愛の美しさ【感想】

美丘の感想

こんにちは。ヒロシです。

2010年に吉高由里子さん主演でドラマ化もされた、石田衣良さんの「美丘」という作品があります。

当時高校生だった僕は原作も購入するほどドラマにハマりました。

最近ドラマを見返す機会があり、小説も再度読んでみたので、今回は「美丘」の感想を書きたいと思います。

「美丘」のあらすじ

美丘の感想

美丘、きみは流れ星のように自分を削り輝き続けた…平凡な大学生活を送っていた太一の前に突然現れた問題児。
大学の準ミスとつきあっていた太一は、強烈な個性と奔放な行動力をもつ美丘に急速に魅かれていく。
だが障害を乗り越え結ばれたとき、太一は衝撃の事実を告げられる。
彼女は治療法も特効薬もない病に冒されていたのだ。
魂を燃やし尽くす気高い恋人たちを描いた涙のラブ・ストーリー。

ー美丘(Amazon)

簡単にいうと、明知大学(架空)の学生である峰岸美丘と橋本太一の2人のラブストーリーです。

自由奔放で鉄砲玉のような性格の美丘は、実はクロイツフェルト=ヤコブ病という脳の病気に冒されていました。

これは、長い潜伏期間を経て発症すると、数ヶ月から数年で脳がスポンジのようになってしまい、死に至るという病気。

本作では、太一と付き合っている最中に病気が発症し、記憶障害や運動機能障害に苦しめられ、美丘は死んでしまいます。

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【感想】「美丘」が教えてくれる、命のすばらしさと愛の美しさ【名言も】

あらすじに書いた通り、いわゆる「恋人が死んでしまう系のラブストーリー」なので、結構ベタな感じの話ではあります。

でも、単なる悲しい系の話、お涙頂戴系のストーリーというわけではないのです。

全力で生きる美丘が教えてくれる、命のすばらしさ

「美丘」がベタなお涙頂戴系の話ではない理由、それは美丘の性格です。

お涙頂戴系ストーリーだと、病気の女の子がひ弱で大人しい性格であるイメージが強いですが、美丘は自由奔放で破天荒な女の子。

自分の好きなように生きて、自分の意思でどんどん行動します。

 

しかし、そんな美丘も心の中では病気によって自分が自分じゃなくなっていく恐怖と戦っています。

恐怖と戦いながらもエネルギッシュに生き続ける美丘から、命の息吹が感じられるのです。

そんな美丘が放つ一言は本当に心が揺さぶられるんですよね。

年取ってボロボロになるまで生きるの、カッコいいじゃない

ー美丘 P.82

この言葉にはハッとしました。

 

おそらく多くの人が、命は有限であると頭では分かっていても、それを本当の意味で理解していません。

だからこそ、「あまり長生きしたくない」「若いうちに死んでみんなから悲しんでもらった方がいい」ということを思う方もいらっしゃるでしょう。

僕もこのように感じたことがあります。

でも、そうじゃない。

わたしひとりだけが気づいているんだ。
生きていることは奇跡で、永遠に続くものじゃない。
ここにいるみんなだって、命には終わりがあるって頭ではわかってる。
でも、心と身体の底から、命の素晴らしさや限界を感じているのは、わたしだけ。

ー美丘  P.243

命は長いように感じるけれど、その一瞬一瞬がかけがえのないもの。
そんなことを美丘は教えてくれます。

普通の人の80年分を20年に凝縮したような美丘の人生。

自分が生きていることに対して疑問を抱いたり、感謝をしたりすることはあまりありませんが、生きていることって幸運によって与えられた奇跡なんだなと。

命ってすばらしいなと思うと同時に、自分にできることを精一杯やって生きていこうと思わせられます。

壊れていく中でもブレない、美丘の強さ

病に冒され、自分が自分じゃなくてなっていく過程でも、美丘は本当に強いです。

わたしには卒業後の未来なんてないかもしれない。
でも、明日はまだなんとかあるんだなって。
文字を書くことも、なにかを覚えることも、思い出すこともむずかしくなった。
だけど、まだわたしが残っている。
本来なら必要なかったものが、これからはどんどん削られていく。
でも、最後に裸になった私が残るはずだよね。そのときのわたしは、どんな人なんだろう。

ー美丘 P.258

 

(大学でアドラーの心理学の授業を受けて)

さっきいっていたよね。
その人らしさをつくるのは、過去の傷じゃなくて、未来への希望だって。
わたしはどんどん壊れていく、でも、同時に生まれてもいる。
最後に残るわたしらしさをつくってみたい。最後にどんな自分と会えるか確かめてみたい。

ー美丘 P.259

このあたりの感想を言語化するのは非常に難しいのですが、心がとにかく揺さぶられます。

何かがなくなるからこそ、新しい自分に出会える。
自分の持っていたものが削ぎ落とされることで、本質に出会える。

この美丘の言葉から、どんな状況にあっても全力で生き続けること、与えられた命を全うすることの美しさを感じました。

つらいとき、自分が厳しい状況に立たされているときに、何度も読み返したくなる名言です。

美丘とその周りの人から感じる、愛の美しさ

誰よりも自由で、誰よりもバイタリティに溢れていた美丘が、物語の後半では病魔に襲われて徐々に弱っていきます。

昨日できていたことが今日はできない、自分が自分ではなくなっていくのに苦しんでいる美丘を見るのは、読んでいて本当に切ないです(ドラマでも同様)。

しかし、日に日に弱っていく美丘から感じられるのは、悲しさだけではありません。

むしろ僕は、「愛の美しさ」を強く感じました。

 

原作よりもドラマ版の方が顕著なのですが、弱っていく美丘を周りの家族や太一が献身的に支えます。

それは美丘に対する「愛」があるから。
「愛」がすべての原動力になっています。

言葉にすると非常に簡単ですが、「愛」というのは自分の生活や時間をその人にささげる、つまり犠牲を伴う行為でもあることも教えられます。

自分を犠牲にしてでも愛したい人がいること、愛してくれる人がいることって、なんて美しいことだろうと僕は感じました。

どんな人にでも、家族や恋人などの愛をくれる存在、自分も愛している存在というものがいるはず。

そんな人に会って、感謝の気持ちを伝えたくなります。




【書評】「美丘」は単なるお涙頂戴小説じゃない。生き方を考えさせられる物語だ

何度も書いていますが、「美丘」は単なるお涙頂戴的な小説ではありません。

生きることや人を愛することについて、考える契機をくれる物語です。

今の自分は精一杯生きているか?
愛している人や愛をくれる人を大事にできているか?

そんなことを自問自答するようになります。

また、確かに悲しい話ではあるので、涙は流れてくるのですが、それ以上に希望をくれる話なので、読後感はほんとうにすがすがしいのです。

あらゆる人に読んでほしいと思える小説です。

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美丘の小説版とドラマ版の違い

美丘のドラマ

出典:https://www.happyon.jp/mioka

細かな違いはあるのですが、概ね同じようなストーリー展開で進んでいきます。

描き方やシーンは異なれど、作者が伝えたいメッセージはドラマでも反映されていますし、小説の重要なシーンはドラマでもしっかりと描かれています。

あとは小説版にあるR-18的な内容がドラマでは省かれているくらいですかね。

また個人的に、美丘を吉高由里子さんが演じているのはドンピシャにハマっているなと。

ドラマ版もかなりおすすめです。

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Hiroshi
Hiroshi
24歳のミニマリスト男子。 服や革靴、革小物の経年変化、無印良品、スタバを愛しています。 こだわりのあるモノ・服選びやライフスタイルについて発信中。 最近Instagramも始めました!

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